京セラの「TORQUE® G02」は、世界初の耐海水性能※を備え、米国国防総省が求める物資調達基準(MIL-STD-810G)の防水、防塵、耐衝撃、耐日射、塩水耐久、耐氷結など19項目に準拠しているタフなスペックのAndroid スマートフォンとして知られている。それに加え、これまでのスマートフォンでは不可能とされていた画面が濡れた状態や、グローブをはめた状態でのタッチ操作も可能にするなど、過酷な環境下での使用に耐え得る仕様になっている。
TORQUE® G02の“ダカール・ラリー参戦”に際しては、レースのレギュレーションに抵触しないよう部分的な調整をしているが、防水効果や防塵効果などのTORQUE® G02が持っている基本的な部分は、市販されているものと全く同じ仕様のまま提供している。
2016年のラリーでは、マシンコンディションや走行データなどをTORQUE® G02で確認することで“バイクの状態を見守る”ことを大きな目的に、ホンダ・レーシング(HRC)のワークスラリーチーム「Monster Energy Honda Team」と開発した専用のアプリを使用。ただ、「世界一過酷」といわれるラリーでは、マシンだけではなく、参戦するスタッフも極限の状態に追い込まれている。なかでも、HRCが課題としていたのが高山病対策だという。
そこで出てきたのが、スタッフの体調管理のためにバイタルデータを取得できないかというニーズだ。そうした状況を背景に、 “バイクも人も、見守りたい”というコンセプトが持ち上がり、HRC+京セラ+日本精密測器(NISSEI)+ムーンファクトリーという今回のコラボレーションが実現した。
ラリーのフィールドは通信環境が十分ではない。そのため、アプリの開発に当たってはBluetooth(近距離無線通信技術)を使用したバイタル機器とのコネクションが大きなポイントになった。また、ビバーク(ラリー参加者が集うキャンプ地)では、限られた時間で非常に多くのミッションをこなさなければならず、操作が煩雑では使い物にならない。
どのような状況下でもデータ通信が可能であることはもちろんだが、アプリのユーザーインターフェース(UI)についても高い完成度が求められた。その成果は、17年1月に開催されたモロッコラリーでの稼動確認のテストでいかんなく発揮され、現地スタッフから高い評価を得ることができたという。
バイタルデータを高精度に確認・管理できる今回のアプリは、リハビリや高齢者医療の分野など、様々な分野に応用可能だと考えられており、医療計測機器メーカーのNISSEIでもその取り組みはすでに始まっている。
京セラをはじめとした各社とコラボレーションの中で鍛えられた高性能スマートフォンアプリ「HealStyle」の開発知見をベースに、より広い視野でアプリのマーケット開拓し、その可能性を広げていきたい。
※ 常温 ・ 静水状態の海水(日本沿岸部の組成を模した人工海水)の水深1.5mに約30分沈めても本製品内部に浸水せず、電話機の性能を保つこと。全ての海水耐久に対して保証するものではありません。