これからのコンテンツは「AIに伝わる」が鍵
2025.07.10
#IT TRENDS
生成AIが普及したことで、キーワードを入力して検索エンジンで調べるよりも、AIに質問して要点だけを素早く得るスタイルが多くなっていませんか。こうした変化が、従来のSEOのアプローチにも影響を与え始めています。いまSEO界隈で注目を集めているのが「AI最適化(AIO)」という新たな考え方。AIに情報を伝えることを前提にした、「AI最適化(AIO)」という新たな取り組みです。
Editing by Kimura Akira
AIOとSEOはまったく別モノ
これまでのSEOは、検索エンジンのアルゴリズムを前提に、キーワードの配置やリンク構造を最適化することが目的でした。それに対し、AIO─「AI Optimization」は、Web上のコンテンツを生成AIやチャットボットが正確に理解し、要約や回答に活用しやすくするための手法です。キーワードの有無よりも、文脈や論理の整合性が重視されるという点で、SEOとは根本的に異なる発想。単に検索結果で上位を狙うのではなく、「AIに引用されやすい情報」を整えることが、AIOのキーポイントになります。
なぜ、AIOが注目されているのか?
検索から会話へ─。冒頭にも述べたように、ユーザーの情報取得スタイルは大きく変わりつつあります。これまでは検索エンジンを使って情報源を自ら探すのが当たり前でしたが、少しずつではありますが、AIに尋ねて答えを得る手法が主流になりつつあります。この変化により、「誰が発信したか」よりも、「AIが何を取り上げたか」が重視される時代へと移行しつつあります。企業が届けたい情報をAIに対応させたいと考える場合、AIに拾われ、要約されることを前提に設計される工夫が求められています。AIOは、こうした情報流通の構造変化に対応するための新しい視座といえます。
AIO対策はコンテンツ制作の王道を歩むこと
AIOを意識してコンテンツを整えることは、決して特別なことではありません。構成や表現が明快になることで、結果的に人にもAIにも伝わりやすくなります。文脈に即した説明や見出しの工夫は、読み手の理解を助け、離脱率の低下にもつながります。さらに、AIが情報を誤解せずに要約・引用できるようになれば、企業の知見がAIの回答に使われる可能性も高まってきます。その意味でAIOは、SEOを意識しすぎたいびつなコンテンツ制作の現場を、本来のコンテンツ制作に立ち返る契機になるのではないかと当社は考えています。
AIOの落とし穴?気をつけたいリスクとその対策
AIに情報が伝わることには、大きな価値があります。ただし、同時に注意すべき点も存在します。たとえば、AIが文脈を省略して要約した結果、本来の意図が曲解される。あるいは、自社の情報がAIに利用されたにもかかわらず、出典が示されないまま、競合他社に再利用されるケースも懸念されます。こうしたリスクを防ぐには、情報に一貫性を持たせ、出典を明記し、著作権表示を徹底することが不可欠になります。信頼性の高い情報設計こそが、AIO時代のリスク対策の礎と考えます。
※Webサイト運用でのAI活用のリスク面については、『【Web担当者必読】生成AI利用のリスクと注意点』をご参照ください。
【余録】
今回も、初稿はChatGPTに書いてもらいました。その過程で気が付いたことがあります。与えたテーマについて、期待するような回答をなかなか返してこなかったのです。
それもそのはず、AIO自体が新しい概念なので、生成AIが参照できる情報が限定的だったのではないかと思います。前回のBlogでお伝えした「生成AIの限界」を目の当たりにした、そんな思いでした。